「その木の器、捨てないで」オイルを入れた瞬間、木目が戻ってきた
木の器が、なんだか白っぽい。
表面もカサカサして、買った頃の色とはずいぶん違う。
「そろそろ捨てどきかな」
そう思ってしまいそうですが、ちょっと待ってください。
その器、古くなったのではなく、木の油分が減っているだけかもしれません。

湿度の高い沖縄でも、木の器は乾きます
沖縄は湿度が高いので、木は乾燥しないように思えます。
ところが、木の器は洗って乾かすことを繰り返すうちに、少しずつ油分が失われていきます。
室内では、長時間使う冷房の風に当たることもあります。
その結果、木の表面が白っぽくなったり、手触りがカサカサしたりすることがあります。
今回、そんな木の器にオイルとワックスを塗ってみました。
空き缶から、三線をつくった沖縄
沖縄には、今あるものを工夫して、もう一度役立てる知恵がありました。
その象徴の一つが、カンカラ三線です。
沖縄市郷土博物館の資料によると、戦後当時は、米軍から支給された缶詰の空き缶や、パラシュートのひもなどを利用して、カンカラ三線が作られたそうです。
捨てられるはずだった空き缶が、沖縄の音を奏でる楽器になったのです。
物がなかったから仕方なく作った、というだけではないように感じます。
何もない中でも音楽を楽しみたい。
今あるものを工夫して、暮らしを豊かにしたい。
そんな沖縄の人たちのたくましさが、カンカラ三線には残っています。
今回の木の器とは、時代も事情もまったく違います。
それでも
「捨てる前に、もう一度できることはないか」
そう考える気持ちは、どこか通じるものがあるのかもしれません。
今回使ったのはWALRUS OIL
今回使用したのは、WALRUS OILの「CUTTING BOARD OIL」と「WOOD WAX」です。
CUTTING BOARD OILは木に染み込み、失われた油分を補います。
WOOD WAXは表面を整え、しっとりした手触りと自然なツヤを与えます。
簡単にいうと
オイルで木をうるおし、ワックスで表面を整える
という組み合わせです。
どちらも食品が触れる木製品への使用を想定した製品です。
メーカーによると、食品機器や食品に触れる材料に関する衛生基準「NSF/ANSI 51」のFood Zone用途として登録されています。
ただし「食品に触れても安全」という表示は、その製品を食べたり飲んだりできるという意味ではありません。
必ず製品の用途と使用方法を守って使います。
オイルを入れた瞬間、木目が戻ってきた

乾いて白っぽくなっていた器に、オイルを注いでみます。
すると、オイルが木に染み込むにつれて、隠れていた木目がくっきりと現れてきました。
色を塗ったわけではありません。
木がもともと持っていた色と表情が、再び見えるようになったのです。
動画では、オイルを入れた部分から色が深くなっていく様子がよく分かります。
この瞬間は、塗料屋の私たちが見ても気持ちいいものです。
お手入れの流れ
最初に、器をきれいに洗い、十分に乾燥させます。
表面が毛羽立っている場合は、必要に応じて木目に沿って軽く研磨します。
そこへCUTTING BOARD OILを塗り広げ、木に染み込ませます。
メーカーの使用方法では、塗布後6~12時間置いてから、表面に残ったオイルを拭き取ります。
そのあと、WOOD WAXを薄く塗ります。
15~30分ほど置き、きれいな布で残ったワックスを拭き取りながら磨き上げます。
作業するときは、容器の表示やメーカーが案内している使用方法を必ず確認してください。
何でも元に戻せるわけではありません
オイルやワックスは、割れた器を接着したり、カビや腐食を直したりするものではありません。
深いひび割れや、衛生面で不安のある傷みがある場合は、無理に使い続けないことも大切です。
また、ウレタン塗装などで表面が覆われている木製品は、オイルが染み込みにくい場合があります。
どんな木製品にも同じように使えるわけではないため、分からないときは塗る前にご相談ください。
捨てる前に、ひと手間
塗料というと、壁や屋上の色を変えるものと思われがちです。
でも、私たちが日々扱っているのは、色を付けるものだけではありません。
傷んだものを守る。
今あるものを、できるだけ長く使う。
それも塗料やメンテナンス用品ができることです。
白っぽくなった木の器も、ひと手間かけることで、まだまだ使えるかもしれません。
捨てるには、まだ早い。
木の器やカッティングボードのお手入れで迷ったときは、仲里ペイントへお気軽にご相談ください。


