「1回塗りは手抜き?」工程は減らす。でも、10時茶~は減らさない
「1回塗り?」
「本当に大丈夫ね?」
そう思うのは、当然です。
これまで、
「下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本」
と聞いてきた方ほど、1回塗りに不安を感じると思います。
「薄くならない?」
「工程を省いているだけでは?」
「手抜き工事に使われない?」
その疑いは、間違っていません。
大切なのは、塗った回数だけで判断せず、
『なぜ、1回で仕上げられる塗料なのか⁈』
を確認することです。
ただ1回だけ塗るのとは違います
一般的な塗料を、本来必要な工程を省いて1回だけ塗る。
これは、1回塗りではありません。
ただの工程不足です。
アミコートは、最初から1回塗りで仕上げることを前提に設計されています。
通常は別々に行う下塗りと仕上げの役割を、一つの塗料にまとめています。
下塗りとは、塗る場所と仕上げ塗料を密着させるための最初の工程。
仕上げとは、色や見た目を整えながら、表面を保護する工程です。
つまりアミコートは、
3回塗る塗料を、勝手に1回へ減らしたものではありません。
1回で必要な役割を果たすように、最初から考えられた塗料なのです。
沖縄の塗装現場は、空を見ながら進む
朝は晴れていた。
天気予報にも雨マークはなかった。
ところが、向こうから黒い雲が近づいてきたと思ったら、突然の大雨。
少し離れた場所では晴れているのに、現場だけ土砂降り。
沖縄ではおなじみの「かたぶい」です。
かたぶいとは、限られた地域にだけ突然降る雨のことです。
沖縄の塗装現場では、職人さんが作業の合間に何度も空を見ます。
「あと一面、塗れるかな?」
「向こうの雲、こっちに来るかな?」
「今日は、ここまでにした方がいいかな?」
塗装は、塗れば終わりではありません。
塗ったあと、雨に濡れても問題がない状態になるまで乾燥させる必要があります。
工程が増えるほど、
- 塗る時間
- 乾燥を待つ時間
- 天気を確認する回数
- 養生している時間
- かたぶいに遭う可能性
も増えていきます。
養生とは、窓や床など、塗料を付けたくない場所をシートやテープで保護する作業です。
天気が変わりやすい沖縄では、一つの工程を減らせる意味は小さくありません。
10時茶~、3時茶~
沖縄の現場では、午前10時の休憩を「10時茶~」、午後3時の休憩を「3時茶~」と呼ぶことがあります。
いわゆる、現場の休憩時間です。
作業の手を止め、お茶やコーヒーを飲みながら、みんなで少しゆんたくする。
ゆんたくとは、沖縄の言葉で、おしゃべりや語らいのことです。
でも、現場のゆんたくは、ただの世間話ではありません。
「午後は、どこから塗る?」
「次は誰が養生を外す?」
「材料は足りている?」
「あの雲、こっちに来そうだな」
「今日は、どこまで終わらせる?」
休憩しながら、自然と次の工程の打ち合わせが始まります。
作業中には見えなかったことも、少し離れて現場を見ると気づくことがあります。
塗り残しはないか。
ほかの職人さんの作業と重ならないか。
次に使う材料や道具は準備できているか。
かたぶいが来る前に、どこまで進められるか。
「10時茶~」や「3時茶~」は、身体を休める時間であると同時に、現場の流れを整える大切な時間でもあります。
休みながら、次の段取りがそろっていく
最近は、現場の人数が少なくなったり、各自で飲み物を持ち歩いたり、交代で休んだりと、休憩の取り方も変わってきました。
「10時茶~」「3時茶~」という言葉を聞く機会も、以前より減ったように感じます。
しかし、休憩そのものが必要なくなったわけではありません。
沖縄の暑い現場では、決められた時刻を待たず、暑さや体調に応じて休むことも必要です。
現在は、気温だけでなく、湿度や日差しから受ける熱まで含めた「WBGT」という暑さ指数を確認し、休憩を増やす現場もあります。
そして、休憩の中で交わされるゆんたくも大切です。
顔を見て、体調を知る。
声を聞いて、困っていることに気づく。
次の工程を確認し、同じ方向を向く。
正式な会議ではありません。
それでも、お茶を飲みながら交わされる何気ない言葉から、次の段取りが自然にそろっていきます。
ゆんたくは、現場を止める時間ではありません。
人と人をつなぎ、現場を次へ進める時間です。
減らしたいのは、ゆんたくではない
1回塗りで時間を減らす。
そう聞くと、
「職人さんの休憩まで削って、早く終わらせる話?」
と思うかもしれません。
違います。
減らしたいのは、「10時茶~」や「3時茶~」ではありません。
現場に必要なゆんたくでもありません。
減らしたいのは、
- 同じ場所を何度も塗る工程
- 次の塗装まで乾燥を待つ時間
- 養生を設置している時間
- 現場を使えない時間
- かたぶいに遭う可能性
です。
塗料を待つ時間は減らす。
人が身体を休める時間は守る。
次の工程を確認するゆんたくも、大切にする。
アミコートの1回塗りは、職人さんを急がせるためのものではありません。
工程に追われる時間を減らし、現場を安全に、落ち着いて進めるための選択肢です。
1回塗りだから薄い、ではありません
塗装で大切なのは、回数だけではありません。
乾燥したあとに、必要な厚さの塗膜ができているかが重要です。
塗膜とは、塗料が乾いてできる、建物や金属を守る膜のことです。
何回塗っても、一回ごとの塗る量が少なすぎれば、必要な厚さにはなりません。
反対に1回塗りでも、決められた量を正しく塗り、必要な厚さを確保できるように設計された塗料もあります。
アミコートは、厚い塗膜を一度の施工で確保する考え方の塗料です。
だから重要になるのが「塗布量」です。
塗布量とは、決められた面積に対して、どれだけの塗料を使うかという基準です。
1回塗りだからといって、薄く伸ばして広く塗ってよいわけではありません。
指定された塗布量と施工方法を守って初めて、1回塗りとしての性能を発揮します。
何にでも、そのまま1回ではありません
アミコートは、どのような場所にも無条件で1回塗ればよい塗料ではありません。
現在の塗膜が浮いている。
サビが進んでいる。
汚れや油分が残っている。
ひび割れや傷みがある。
このような場合は、塗る前の処理が必要です。
汚れやサビ、弱くなった塗膜を取り除き、塗装できる状態に整える作業を「下地処理」といいます。
また、亜鉛メッキなど、塗る素材によっては別のサビ止めや下塗りが必要です。
だから仲里ペイントは、
「アミコートなら、何でもそのまま1回で大丈夫です」
とは言いません。
何に塗るのか。
現在どのような状態なのか。
どのような環境で使われているのか。
そこまで確認して、1回塗りが適しているかを判断します。
工程を減らしても、確認は減らさない
「3回塗りだから安心」
「1回塗りだから不安」
回数だけでは、本当の良し悪しは判断できません。
確認したいのは、
- 何回塗りで設計された塗料なのか
- 必要な塗布量を守っているか
- 下地処理はできているか
- 塗る素材に適しているか
- 沖縄の気温や湿度、天候に合っているか
ということです。
1回塗りは、何でも省略してよいという意味ではありません。
減らしてよい工程を見極める。
必要な確認は、しっかり行う。
職人さんの休憩は、きちんと守る。
次の工程を考えるゆんたくも、大切にする。
そして、かたぶいが来る前に現場を進める。
1回塗りで減らしたいのは、人に必要な時間ではありません。
現場を複雑にしている、余分な工程と待ち時間です。
疑って、確認して、納得して選ぶ。
その先にある1回塗りなら、沖縄の現場をもっとシンプルにできるはずです。



