シリーズ『塗料屋の視点』 第1話 マスカーが消えた日
― 建物を守る仕事は、世界とつながっている。―
先日、そんな言葉をかけてご来店くださったお客様がいらっしゃいました。
その方は、沖縄県内のホテルや商業施設、観光施設などの壁面にアートを描く仕事をされています。
お探しだったのは「マスカー」。
塗装やアート制作では欠かせない養生資材です。
ところが、そのマスカーが思うように入荷しません。
「ありません。」
そうお伝えすることは簡単です。
でも、それでは仲里ペイントの役目は終わりません。
メーカーへ問い合わせる。
仕入先の在庫を探す。
代替品を検討する。
少しでも現場を止めない方法を考える。
私たちは、そのために存在していると思っています。
不足しているのは、マスカーだけではありません。
私たちの業界は、石油化学製品の基礎原料であるナフサに大きく依存しています。
そのため、原油価格や為替、世界情勢の変化は、塗料だけでなく、マスカー、養生テープ、ローラー、シーリング材、プラスチック容器など、現場で使われるさまざまな資材に影響を及ぼします。
「たかがマスカー。」
そう思われるかもしれません。
しかし、現場では一つの資材が不足するだけで、工事の工程が変わり、工期や品質にも影響することがあります。
沖縄は離島です。
本土で起きた供給不足や物流の遅れは、さらに大きな影響となって沖縄へ届きます。
だから私たちは、日頃から少し先を見据えながら商品を確保し、お客様の現場を止めない努力を続けています。
世界の出来事は、沖縄の現場につながっている。
私は最近、ニュースを見る視点が変わりました。
政治が動けば、為替が動く。
為替が動けば、輸入価格が変わる。
輸入価格が変われば、資材の供給や価格にも影響が出る。
つまり、遠い世界で起きている出来事が、沖縄の一つの現場につながっているのです。
私たちは塗料を扱っていますが、本当は石油化学製品の流れの中で仕事をしています。
だからこそ、ニュースで流れるドル円相場や原油価格、中東情勢は、決して他人事ではありません。
建物を守る仕事だからこそ。
私たちが届けたいのは、塗料だけではありません。
お客様が予定どおり工事を進められる安心です。
現場を止めないこと。
建物を守り続けること。
「仲里ペイントさんなら何とかなるはず。」
その期待に応え続けられる会社でありたい。
これからも、世界の動きを見つめながら、地域の現場を支える存在であり続けたいと思います。
次回予告
円安が進むと、なぜ塗料や資材の価格が変わるのでしょうか。
建物を守る仕事と世界経済のつながりについて、次回お話ししたいと思います。



