シリーズ「塗料屋の視点」 第3話「ナフサって何?」
― 建物を守る仕事は、世界とつながっている。―
前回、「私はなぜドル円を見るのか」というお話を書きました。
その中で出てきた言葉。
「ナフサ」。
普段の生活では、あまり耳にすることのない言葉かもしれません。
でも実は、このナフサが不足したり価格が上がったりすると、私たちの仕事だけでなく、皆さんの暮らしにも大きな影響を与えます。
ナフサは、ものづくりの出発点。
ナフサとは、原油を精製するときにできる石油製品の一つです。
燃料として使われることは少なく、プラスチックや合成樹脂、塗料、接着剤などをつくるための「原料」として使われています。
つまり、塗料そのものではなく、塗料をつくるための材料の材料なのです。
ナフサから生まれるもの
私たちの業界では、多くの製品がナフサを原料としています。
例えば、
- 塗料
- シンナー
- マスカー
- 養生テープ
- ローラー
- 刷毛の樹脂部分
- シーリング材
- 接着剤
- ポリ容器
- プラスチック製の道具
そして、建築業界だけではありません。
食品トレーやペットボトル、買い物袋、家電製品、自動車部品など、私たちの生活にある多くの製品も、ナフサから作られています。
つまり、ナフサは現代のものづくりを支える土台なのです。
だから世界情勢の影響を受ける。
中東情勢が緊迫する。
原油価格が上がる。
円安になる。
すると、ナフサの価格も影響を受けます。
その結果、さまざまな製品の製造コストが上がり、価格改定や供給不足につながることがあります。
私たちが取り扱う商品も例外ではありません。
だから、ニュースで「原油価格」や「中東情勢」が報じられるたびに、決して他人事とは思えないのです。
私たちが仕入れているのは、商品だけではありません。
私は、社員にもよく話します。
「箱に入った塗料だけを見ていてはいけない。」
その塗料ができるまでには、原油があり、ナフサがあり、化学メーカーがあり、物流があり、多くの人たちの仕事があります。
その流れを知ることで、先を読む力がついてきます。
それが、お客様へ安定して商品を届けることにつながると考えています。
建物を守る仕事は、世界を知る仕事でもある。
一缶の塗料の向こうには、世界があります。
一巻きのマスカーの向こうにも、世界があります。
だから私たちは、商品だけを見るのではなく、その背景にも目を向け続けます。
建物を守るためには、世界の動きを知ることも大切な仕事の一つだからです。
次回予告
「また値上げか…。」
そんな声を耳にすることがあります。
でも、その価格は本当に誰かの利益だけで決まっているのでしょうか。
メーカー、販売店、そして現場。
価格の裏側にある仕組みについて、塗料屋の視点からお話しします。


